暗号資産を勉強しているとフォークという言葉が出てきます。
暗号資産のフォークとはどういう意味なのでしょうか?
イーサリアムクラシックはイーサリアムからフォークして生まれたとのことですが、なぜイーサリアムクラシックはフォークして生まれたのでしょうか?
暗号資産の計算ソフトウェアを変更するフォーク
暗号資産は、資産のやり取りをソフトウェアで計算することによって機能します。
ソフトウェアにバグがあったり、さらなる機能拡張の目的で、ソフトウェアを変更したくなることもあるはずです。
暗号資産の計算ソフトウェアを変更することをフォークといいます。
暗号資産の計算ソフトウェアは、世界中にいるマイナーのコンピューターの中にありますが、それらを同時に変更することは難しいです。
ソフトウェアを変更すると計算結果が変わります。
ソフトウェアを変更した後、しばらくの間は2種類のソフトウェアが共存することになりますが、マイナーがどちらのソフトウェアを使って計算したかによって、2種類の計算結果が現れることになります。
2種類の計算結果が現れても大丈夫なのでしょうか?
ソフトウェアの変更であるフォークには、2種類の計算結果を違うコインと考えるハードフォークと、2種類の計算結果がそのうちに1種類に統合されていくソフトフォークとがあるのです。
ハードフォークすると2種類の暗号資産に分かれる
従来のソフトウェアによる計算結果と、新しいソフトウェアによる計算結果の2種類の計算結果を違うコインと考えるハードフォークでは全く別の暗号資産であると考えます。
この2種類の計算結果は、再び交わることがありません。すなわち、1つのコインが2種類のコインに分離したということです。
ハードフォークの前には、従来のソフトウェアによる計算結果のコインをどのように取り扱うか、暗号資産コミュニティのなかで決定しておきます。
イーサリアムクラシックはハードフォークで生まれた
2013年に誕生したイーサリアム。
2016年DAO事件と呼ばれる出来事が起こりました。
これは、「The DAO」というイーサリアム状のプロジェクトからハッキングによって約364万ETH(約50億円)のイーサリアム(ETH)が盗まれた事件のことです。
このハッキングに対して、ソフトウェアに修正(ハードフォーク)を加えてハッキングによる取引がなかったことにするか、
何もせずにハッカーに盗まれたイーサリアムを渡すか議論がされました。
なぜ、盗まれたイーサリアムを渡さずに済む方法があるにもかかわらず、渡したほうが良いという考えが出てきたのでしょうか。
イーサリアムは管理者のいない、非中央集権のしくみが特徴です。
約50億円の巨額の被害とは言え、外部から誰かの意図による修正を加えるのはイーサリアムに限らず、多くの暗号資産のそもそもの趣旨に反しています。
結果的に、イーサリアムのコミュニティはソフトウェアを修正する(ハードフォークする)ことを選びました。
その時に、ハードフォークするべきでないとの立場に立ったのが、現在のイーサリアムクラシックのコミュニティです。
DAO事件の後、イーサリアムは、イーサリアムとイーサリアムクラシックの二つにハードフォークすることになりました。
イーサリアムクラシックの方がもともとの設立趣旨を大切にしていたと言えるかもしれません。
ソフトフォークは暗号資産としては分離しない
ハードフォークとは異なり、従来のソフトウェアによる計算結果と、新しいソフトウェアによる計算結果の両方を正しいブロック(結果)として取り扱うフォークをソフトフォークと呼びます。
ソフトフォークした場合でも、新しいソフトウェアと従来のソフトウェアとで、一時的に2種類の異なる計算結果が出ることになりますが、運用されていく中で、新旧どちらの計算結果がより多く採用されるかが明らかになっていきます。
一般的な暗号資産のソフトウェアアルゴリズムでは、より正しいとされる計算結果を残し、間違っているとされる計算結果を削除する仕組みが導入されています。
ソフトフォークで導入された新しいソフトウェアによる計算結果が普及していくこともあれば、新しいソフトウェアを導入したにもかかわらず、従来のソフトウェアによる計算結果が普及し続けることもあるということです。
ソフトフォークは利用者にとっては、フォークに伴う対応が少ないことがメリットだといえるでしょう。
一方で、強制的にソフトウェアアルゴリズムを変更できないことがデメリットだと考えることができます。
参考文献


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